トヨタが全固体電池を使ったEV(電気自動車)の実用化に向けて開発を進めることを発表しました。
リチウムイオン電池が今までは使われていましたが、全固体電池の導入が実現すれば従来よりもEVの航続距離が延び、充電時間も短縮できます。
今注目されている全固体電池とは一体どんなものなのでしょう。
そのメリット、デメリット、実用化の時期などを一緒に見ていきましょう。
全固体電池とは
全固体電池は、電解質が液体ではなく個体で構成された電池です。
従来の電池は正極(プラス)と負極(マイナス)をつなぐ電解質は液体が使われてきました。
固体の電解質である全固体電池を使用により、バッテリー寿命や航続距離の向上が期待されています。
全固体電池はまだ開発段階で、EVやノートパソコン、スマートフォンなどのバッテリーに実用化されていません。
下記の右上画像が全固体電池。
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— トヨタ自動車株式会社 (@TOYOTA_PR) June 12, 2023
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トヨタ自動車株式会社 ツイッターより引用
全固体電池のメリット
温度変化の影響を受けにくい
従来のリチウムイオン電池は、温度変化の影響を受けてしまう面がありました。
高温になると、電解質の液体に含まれる可燃性の有機化合物が燃えてしまう可能性もあります。
また、低温になるとバッテリーの減りが速かったり、使用できなくなったりする可能性もあります。
しかし、全固体電池はこうした温度変化の影響を受けにくいメリットがあります。
100度の高温に耐えることができ、マイナス30度の低温でも使える特徴があります。
難燃性の電解質
全固体電池は難燃性の燃えにくい電解質で構成されています。
そのため、可燃性物質を含んだリチウムイオンより発火の危険が少ないメリットがあります。
充電速度が速い
全固体電池の充電速度は速く、リチウムイオンの3分の1ほどの時間で充電できるとされています。
トヨタは全固体電池で、10分充電1,200キロの走れるバッテリー作りを目指すことを発表しました。
全固体電池のデメリット
製造コストが高い
既に実用化されているリチウムイオン電池に比べ、全固体電池の製造コストは高くなってしまいます。実用化に向けて開発が進んでいますが、コスト削減できるかが鍵となっています。
量産が難しい
まだ開発段階の全固体電池は、量産化まで進んでいません。
大量生産できるようになるまで、まだまだ時間がかかる段階にあります。
EVの実用化はいつか
トヨタは、早ければ2027年の実用化に向けて開発を進める方針を発表しました。
全固体電池には前述したメリットがありますが、製造コスト、量産のハードルがあります。
全固体電池の課題はあれど、始めは少量生産でEVへの実用化に向けて動き始める段階となりました。